PROMINENCE 2 Lesson 3 Norman Rockwell: An Artist of the People, for the People

Lesson 3
Norman Rockwell: An Artist of the People, for the People
ノーマン・ロックウェル: 民衆の、民衆のための画家

「古き良きアメリカ」という慣用句があります。この慣用句を聞いて何を思い浮かべますか? 「古き良きアメリカ」を生き生きと思い描くことができれば、ノーマン・ロックウェル(1894―1978年)の絵の影響を受けているのかもしれません。ロックウェルの絵はとても人気があって、誰が描いたのかを知らずに、絵をいくつか見たことがあるのかもしれません。しかし、ロックウェルは古き良きノスタルジックなアメリカを描いただけの画家なのでしょうか?

Part 1 本文和訳

今までに次のことわざを聞いたことはありますか? 「1枚の絵は千語に相当する」 「路上封鎖=とんだ交通渋滞」という絵では、トラックドライバーは腹を立て、助手は犬の注意をひこうとしていますし、驚いているような人もいますし、笑っている人もいます。このような場面は、私たちのうちの何人かは毎日の生活で経験することを表現しています。この絵はとても生き生きとしていて、とても表現力豊かで、まるで絵の中の人の声や笑い声が聞こえてくるように感じます。偉大な作家であっても、言葉でもっと生き生きと人々の表情や場面の雰囲気を描写するのは難しいものです。

ノーマン・ロックウェルは1949年に「とんだ交通渋滞」を描きました。ロックウェルはアメリカのいわゆる「古き良き時代」について教えてくれる、たくさんのユーモラスな絵を制作したと言われています。ロックウェルの作品は、米国の主要な美術館の多くに飾られています。少し名前をあげるだけでも、メトロポリタン美術館、ブルックリン美術館、マサチューセッツ州のロックウェル美術館があります。ほとんどの美術専門家がロックウェルの絵を重視していないのに、何千もの人々が毎年ロックウェル美術館を訪れて、ロックウェルの絵を高く評価しています。人々はロックウェルの絵の何がそれほどまでに好きなのでしょうか?

Part 2 本文和訳

この作品の題名は「恐怖からの自由=生きる権利」(1943年)です。この絵では、両親が寝ている子供たちの様子を確かめています。場面は静かで穏やかですが、父親が手にしている新聞が、家の外で何が起きているのかを伝えています。少しだけ見える見出しには「空爆で死者……」と書いてあります。見出しの下にある小見出しは、見出しと同様で判読しにくいのですが、「女性と子供が急襲により多数死亡」と書いてあります。こうしたもの両方が、第2次世界大戦中、イギリスでの空襲のことを表しています。

当時、ロンドンはドイツ空軍による絶え間ない空襲に見舞われていましたから、イギリスのほとんどの親たちは、子供たちを怖がらずに寝かしつけることはできなかったのです。ロックウェルは人々の恐怖と、恐怖から逃れたいという願望を表現しようとしていますが、破壊や死の場面を描きたくはなかったのです。子供たちを外の危険から安全に守りたいと願っているけれども、子供たちの寝顔を見守ること以外何もできない両親に焦点を当てることが一番いいと考えました。ノーマン・ロックウェルは、郷愁あふれるアメリカの光景を描く画家であるだけではなく、戦争中苦しんでいる周りの人たちみんなの恐怖と希望を感じることのできる画家でもあったのです。

Part 3 本文和訳

「私たちみんなが抱える問題=共有すべき問題」(1964年)では、ノーマン・ロックウェルは、6歳の黒人少女ルビー・ブリッジスが4人の連邦警察官に守られながらニューオリンズの学校に行っている場面を描きました。
この絵はルビーを細かい点まですべて描いています。白い靴と靴下から、ノート、定規、それに白い服まで。絵が描いていないのは警官たちの顔です。体と、黄色い腕章を付けた腕と、警官の一人のポケットに入った手紙だけが見えます。手紙にはおそらくは学校統合の命令が書いてあるのでしょう。顔を示さないことで、ロックウェルの絵はルビーに的を絞っています――ルビーの孤立、こうした保護の必要性、ルビーの学校へ行くんだという決意に焦点が当てられています。

まるで柱のような4人の男性の体は、絵には描かれていないけれども、学校の周りにいる怒りの群衆たちの怒鳴り声と暴力からルビーを守っているのです。トマトが壁に投げつけられているのが見えます。そして、もし壁を注意深く見れば、消えかかっている、大きな文字で書かれた下品な言葉を見ることもできます。

半世紀経って、この絵は依然として、私たちに多くの歴史書や新聞よりも力強く米国南部の学校統合の状況を伝えています。黒人の女の子の表情を通じて、ロックウェルが人種差別についてどのように感じていたのかを伝えてくれます。

Part 4 本文和訳

多くの美術専門家は、このようなものは「本当の芸術ではない」と言って、ロックウェルの活動を批判したり、無視したりしました。ノーマン・ロックウェルは美術界の真剣な研究対象には含まれていませんでした。このことでロックウェルは時には悲しい思いをしました。しかし、ある意味では、ロックウェルは人々に長く続く影響を与えてきているのです。

ロックウェルの作品は本や雑誌によく現れ、過去を反映しているだけではなく、今日の問題に気づかせてもくれます。つい最近でも、ロックウェルの絵画が、ニューヨークタイムズ紙上で見つかりました。医療に関する記事に添えられているものでした。この絵には、聴診器でお人形さんの心拍を聞いている優しいお医者さんがいますし、心配顔の小さな「お母さん」がとても心配そうに見守っています。この絵は、親身になって世話をしてくれるお医者さんと、お医者さんたちを支える医療制度が、必要だということを伝えています。

ロックウェルの作品は、生活のいろいろな様相が今よりも単純で良かったアメリカの初期のことを思い起こさせてくれます。昔は家族のこと、隣人のこと、祖国のことをもっと気づかった時代だったのです。そのことをノーマン・ロックウェルは表現したかったのです。ロックウェルは、人々が他の人たちに対して持つべき共感と同情について考えてもらいたかったのです。ロックウェルの絵画は、いつでも私たちに大きな意味を持ち続けることでしょう。他の人への深い同情は、普遍的で時を超えた人間に特有の価値なのですから。