PRO-VISION 2 Lesson 3 Designed to Change the World

Lesson 3
Designed to Change the World
世界を変えるためにデザインされて

Part 1 本文和訳

「あのドレスって素敵なデザインねぇ~」とか、「このスマホ、カッコいい~」とかよく言います。

しかし、何かが上手にデザインされていると言うときに、それが誰のためにデザインされているのかについて考えたことがありますか? 

例えば、あるデザイナーが新しい車のための豪華で上品なデザインを作りだそうとして懸命に頑張っているとしましょう。

先進工業国の消費者にとっては、車の美しい外観は大切です。

しかし、人類の大多数を占める発展途上国の貧しい人にとっては、車のデザインの美しさは暮らしの中ではたいして大切ではないかもしれません。

発展途上国向けの実用的な製品を作るNPOの創設者ポール・ポラックは、次のように話しています。

「世界中のデザイナーの95%は、世界の消費者の一番お金持ちの10%の人たちのためだけに向けた製品を開発することに努力のすべてを集中させている。まさにデザインの革命が、残りの90%の人たちに届くために必要とされている」 ポールは製品を作ることについてのこうした新しい考え方を「残りの90%の人のためのデザイン」と呼んでいます。

今では、食べ物や、安全な飲める水や、住まいのような生活の基本的な必需品を定期的に利用できない何十億もの人たちを含む「残りの90%の人」のための製品をデザインし始めているデザイナーもいます。

こうした新しいデザインは、90%の人たちが直面している問題に直接取り組み、90%の人たちの暮らしを改善しています。

Part 2 本文和訳

世界では何百万もの人たちが安全な飲み水の水くみ場から何kmも離れて暮らしています。
もし危険な水を飲めば、コレラや赤痢のような水を介して運ばれる病気にかかるかもしれません。
ですから、毎日、飲料に適した水の水くみ場から水を運ぶのに、多くの時間をかけなければいけません。
重い荷物の水を頭の上に置いて長い距離を運びます。
これは首や肩にダメージを与えることがよくあります。
何百年もの間、この重労働は主に女性と子供によって行われてきています。

Qドラムはこの問題を解決するために作り出されました。
Qドラムは真ん中に穴の開いている丸い形をしたタンクで、「転がす」ことで水を運ぶようにデザインされました。
Qドラムは水を運ぶという重労働を大幅に軽減してくれます。東チモールの1家族はQドラムを手に入れるまでは、40Lの水を運ぶのに毎日4往復していました。
しかし、Qドラムを使って、今では1度に50Lの水を運ぶことができますから、1往復する必要があるだけです。
Qドラムを使っている南アフリカの一人の女性は、次のように話しています。「水は私たちの命です。今では、生活は楽になっています。
水を運ぶのに費やした日々のために、お母さんもおばあさんも高齢になる前であっても腰は、くの字に曲がり、杖をついて歩いているのを目にしていました。
小さな子供でさえもQドラムを使えます。
Qドラムを使った遊びも考案しています。親たちには家族のために他のことに取り組む時間があります」

WINDOW 2

The Q‐Drum Qドラム

Qドラムという名前は形から来ています。ロープが付けられていて、アルファベットの文字Qのように見えるからです。ユニークなQドラムは真ん中にドーナッツの穴のような穴が開いています。この穴を通してQドラムにロープを結びつけることで、引っ張ることができます。壊れてしまうような取っ手は一切ついていません。ロープは革のひもや植物素材で出来たロープのような他のもので代用できます。

Part 3 本文和訳

電気のない生活を想像できますか? 
もし電気がなかったら、暮らしはまったく違ったものになっていることでしょう。
しかし、世界中には20億人以上もの人たちが電気なしで生活しています。
そうした人の多くは、照明に石油ランプを使っています。
しかし、石油ランプは有害なガスを出し、しかも、仕事にも勉強にも十分な明かりを供給してくれません。
また、毎日、石油を使うコストは家計の重荷になっています。

西アフリカの国ベナンにある村で暮らし、ボランティアとして活動しているアメリカ人のサム・ゴールドマンは、この問題を理解していました。
ある日、電気のない村で事件がありました。
石油ランプから出火し、お隣さんの家を一軒全焼し、12歳の男の子がひどいやけどを負いました。
この事件がゴールドマンを駆り立て、安全で費用効果の高い手さげランプを開発させました。
スタンフォード大学で、発展途上国の人たちのために製品をデザインするのに適した授業を受けました。
授業を通して、太陽電池が付いたランプを開発し、キラン・ソーラー・ランプと名付けました。
キラン・ソーラー・ランプは、十分に充電されていれば、最大8時間、明かりを供給でき、いかなる燃料も必要とはしません。

キラン・ソーラー・ランプは、世界中の40か国以上の国々で200万人に新しい光源を供給してきています。
今では子供たちは、よりよい学習環境を手にしています。
「このランプは石油ランプよりずっと明るくって、今じゃ、うちら、勉強に興味が出てきてるんですよ」とインドの14歳の女の子は言います。
もう一ついい点があります。キラン・ソーラー・ランプのおかげで、夜、今までよりも長く働けるようになってきていますから、毎月の収入が増えてきているのです。

WINDOW 2

The Kiran Solar Lantern キラン・ソーラー・ランプ

キラン・ソーラー・ランプは、一番上に取り付けられている太陽電池パネルで発電します。石油ランプよりも3倍明るい光を供給できます。この製品はいろんな方法で使えるようにデザインされています。携帯用ランプとして持ち運べますし、壁や天井に吊るせますし、周囲を効率的に照らし出せるようにどのような表面にも置けるのです。

Part 4 本文和訳

「残り90%の人」に向けた種類の製品をデザインすることは、違った接近方法を要求します。
デザイナーが製品のデザインをもっと魅力的にするよう努力するときに、あるいは、もっとたくさんの機能を付け加えるときに、製品の値段が上がります。
お金のある人はそうした製品にお金を支払うことができますし、お金を払うことをいとわないでしょう。
しかし、世界では26億人が1日2ドル未満で生活していて、生活必需品に使えるお金はごくわずかです。
こういう人たちにとっては、製品は何よりも手の届く範囲のものでなければいけません。

低コストの製品を作りだす前に、デザイナーは発展途上国の人たちの生活ぶりを理解しなければいけません。
どのような種類の製品が望まれているのか、その製品にはどのくらい支払うことができるのかを見極めなければいけません。
「人々が何を本当に必要としているのかを探さなければいけません――多すぎても駄目で、少なすぎても駄目なのです」とゴールドマンさんは語っています。

貧しい生活をしている人たちは、こうした姿勢を歓迎して、次のように話します。
「やっと消費者として認められるようになったと感じているんです。デザイナーが私たちの必要とするものについて尋ねてくれてて、私たちの必要とするものに見合った製品を開発してくれてて嬉しいんです」 
デザイナーの側はどうかと言うと、自分たちのデザインが人々の暮らしを改善しているのを理解できます。
貧困と闘うという目標を持って、デザイナーたちは、地域社会の人たちに援助の手を差し伸べていて、実用的で、命を救うことさえある製品を作りだそうとしています。
1つずつこうしたデザインが世界を変えているのです。