LANDMARK 2 Lesson 9 Secret of Vermeer’s Paintings

Lesson 9
Secret of Vermeer’s Paintings
フェルメール絵画の秘密

Part 1 本文和訳

ヨハネス・フェルメールは 17 世紀の有名なオランダ人画家です。彼の絵は多くの人の心をとらえてきました。フェルメールを取り上げた展覧会はほとんどいつも多くの観客を引きつけます。彼の現存する絵の数は 33~36 作品と非常に少なく,中には何百万ドルもの価値があるものもあります。中でも,「真珠の耳飾りの少女」(1665 年頃作)は最も有名です。その作品は「フェルメールブルー」と呼ばれる鮮やかな青色で高く評価されています。この色は「ラピス・ラズリ」と呼ばれる高価な天然石から作られた絵の具で創出されました。

この独特の色に加えて,フェルメール絵画の独自の特徴はほかにもいくつかあります。まず第一に,彼の絵の多くは,どういうわけかカメラで撮影された写真のように見えます。第二に,彼の絵の多くはまるで同じ部屋で描かれたかのように構図がよく似ています。さらに,彼の絵の多くは同時代のほかのヨーロッパの絵と比較するとサイズが小さいのです。これらの独自の特徴は何を暗示しているのでしょうか。もっと詳しく見てみましょう。

Part 2 本文和訳

研究者の中には,フェルメールは絵を描くときに「カメラ・オブスクラ」を使ったのではないかと推測する人もいます。カメラ・オブスクラはラテン語で「暗い部屋」を意味します。

それは現代のカメラの前身です。それはどのように機能するのでしょうか。まず初めに,暗室を作って壁に針穴を開けます。その穴を通って外部の物体から反射された光が射し込み,反対側の壁のスクリーンに像を結びます。その像はさかさまに再現されますが,私たちの目には本物に見えます。これにより,像を敷き写すだけで本物のような絵が描かれることが可能です。

その技術は古代ギリシャ時代から知られており,カメラ・オブスクラは最初,日食を観察するのに使われていました。その後 15 世紀に,カメラ・オブスクラは絵を描くためにも使われるようになりました。16 世紀には,針穴の代わりにレンズが用いられ,スクリーン上の像はさらにもっとはっきりするようになりました。

レンズ産業は,17 世紀,デルフトというフェルメールの故郷の町で繁栄していたので,フェルメールはカメラ・オブスクラのさらなる改良型を使ったかもしれません。しかし,彼のカメラ・オブスクラはどこにも見つかっていないので,彼が実際にそれを使ったのかどうかについて論争があるのです。

Part 3 本文和訳

フェルメールは実際に彼の絵でカメラ・オブスクラを使ったのでしょうか。彼の絵の中に,彼がそうしたことを暗示する証拠をいくつか見ることができます。「レースを編む女」という絵を見てください。特定の部分,特に紅白の糸の塊はぼやけて描かれています。「牛乳を注ぐ女」というもう 1 つの絵では,遠くの壁に鮮明に描写されている釘穴や引っかき傷がありますが,一方,パンとバスケットに近い部分はあまり鮮明ではありません。当時のカメラ・オブスクラのレンズを通すと,像の焦点が合っていない部分は同じように不鮮明に見えることもあります。

それゆえ,フェルメールは自分が見たものをカンバスに再現しただけに違いないと信じる人もいます。

さらに,念入りに見ると,2 つの絵の明るい部分には輝く点があります。それらはレースやパンの上で目立ちます。カメラ・オブスクラのレンズを通すと,像の輝いている部分はちょうどこのように観察されることが可能です。こういった点は裸眼では見られません。このことは,フェルメールがカメラ・オブスクラを使ったことを暗示するさらなる証拠なのです。

Part 4 本文和訳

右にある絵を見てください。それらは構図が次の点でよく似ています――正面の壁,左の窓から差し込む光,何らかの作業をしている 1 人か 2 人の人物。このこともまた,フェルメールがカメラ・オブスクラを使ったことの証拠を提供しています。

イギリス人の建築学教授であるフィリップ・ステッドマンは,構図がよく似ているフェルメールの 11 点の絵を分析し,いくつかの興味深い発見を報告しました。1 つには,これらの絵にある部屋は実際には同じ部屋であり,絵は同じ視点から描かれたということです。フェルメールがその部屋の同じ位置に備え付けられたカメラ・オブスクラを使って絵を描いたと仮定すると,なぜ絵の構図がとてもよく似ているのかを理解することは容易です。加えて,ステッドマンはフェルメール絵画の遠近法が驚くほど正確であることを発見しました。このことはこの装置を使わなければ不可能だろうと彼は考えました。さらにステッドマンは,フェルメール絵画の比較的小さなサイズ(縦横 40~80 センチ)はカメラ・オブスクラを通して創出される像のサイズとよく似ていると指摘しました。

Part 5 本文和訳

私たちが見てきたように,フェルメールがカメラ・オブスクラを使ったと信じるのに十分な根拠があります。しかし,このことは,彼のすばらしい芸術作品は単に彼が使った装置の副産物であり,彼の作品は単にカンバスの上に敷き写されたのだと暗示するものではないはずです。フェルメールが今までで最も才能のある画家の 1 人であることに疑いの余地はありません。それゆえ,彼はレンズを通して見た像からインスピレーションを得ただけで,そういった像の細部を分析し,それらを映し出す光のいくつかの姿をとらえ,それからその姿を彼の絵に再現しようとした可能性がより高いのです。確かに,彼の絵の焦点が合っていない部分は私たちに奥行き感を残し,輝く点は裸眼には見えないある種の現実性を与えています。

17 世紀には,レンズの助けを借りて芸術絵画を創り出すことは革新的で先駆的な手法でした。もしフェルメールがカメラ・オブスクラを使いながら独自の画法を確立したのなら,それは確実に画家としての彼の偉大さによるものでした。フェルメール絵画の秘密は芸術と科学の融合にあるのです。