CROWN 2 Lesson 10 Grandfater’s Letters

Lesson 10
Grandfather’s Letters
おじいちゃんの手紙

(pp.152-159)

 ある日、チャールズ・グラマルディが亡き母マーガレットの持ち物を整理していたとき、彼は「カカ」とサインされた絵手紙やカードの古いアルバムを見つけた。これらの手紙はだれからのものだったのだろう。

Section 1 本文和訳

 チャールズ・グラマルディが伯父のテディに電話をすると、彼もカカからの手紙を所有していた。グラマルディはカカが自分の曽祖父のニックネームであることを知った。彼のいとこたちもカカからの手紙を持っていた。ほどなく、850を超える手紙およびカード、つまり世界最大のイラスト文通コレクションが、彼のもとに集まった。彼はそれを出版することを決めた。イギリスのアン王女はその本『ピクチャーズ・イン・ザ・ポスト』の前書を書いた。収益の一部は国際チャリティー団体「セーブ・ザ・チルドレン」の支援に使われている。

 さらに8人がグラマルディに連絡し、カカからの手紙を自分たちも持っていることを伝えた。あわせて1,200の絵手紙、カードが見つかった。

 これは、カカと彼が生きた時代、つまり戦争、船旅、イギリスと植民地インドをまたぐ家族生活が存在していた時代の物語だ。

Section 2 本文和訳

 カカとはヘンリー・ソーンヒルのことだ。彼は1854年に生まれ、インドイギリス植民地局の立派な陸軍士官であった。子どもは、カッドバート、チャーリー、マッジの3人で、全員インド育ちであった。マッジは海軍士官と結婚し、1912年に最初の息子を授かった。テディである。赤ん坊のテディが「grandpa(じいじ)」と言おうとする試みが、結果としてヘンリー・ソーンヒルのニックネーム、「カカ」になった。

 カカは自然を愛し、インドの鳥や動物に深い造詣があり、それを孫たちと共有したいと思っていた。1914年、彼は当時1歳半だったテディに絵手紙を送り始めた。そこには、テディと冒険をともにするミスター・ヘアとハッチと呼ばれるゾウを中心に、たくさんの動物たちの絵が描かれている。

 1914年、第一次世界大戦が勃発するほんの数週間前、ソーンヒル家は一家でイギリスに戻ってきた。イギリスでは、戦争がすぐにカカとテディを離ればなれにした。テディの父が海軍の任務に派遣される一方、カカはロンドンに残ったからだ。カカは動物、スポーツ、発明品の絵を描いたカードをテディに送り続けた。

Section 3 本文和訳

 1918年の戦争終結後、テディは父親とともにインドに戻る一方、カカはイギリスに残った。当時、人々の長距離旅は船であり、家族は教育や仕事のために遠く離れて暮らしていた。人々は長距離で離ればなれとはいえ、家族のつながりを欲していた。郵便が船で宛先に着くのに何週間もかかるにもかかわらず、人々は手紙を書いた。

 この時期以降のカカの手紙は、テディ同様、孫娘のマーガレットとエリザベスにも送られていた。孫たちが5歳になると、読みの習得に役立つように大文字を使って、カカはメッセージの中に長めの文を折り込み始めた。彼は孫宛てに、インドの珍しい動物だけでなく発明や技術についても書いた。電話、ラジオ、動力飛行機は1920年代の先駆的技術であった。

 テディは、10歳のときに寄宿学校に行くためインドからイギリスに送られたことを記憶している。彼は大学に進学し、その後植民地局に入り、海外に配属された。カカには孫たちに会える機会がほとんどなかった。だから、ヨーロッパとインドをまたぎ別々の場所で暮らす家族たちに手紙を書き続けた。

Section 4 本文和訳

 テディとカカの最後の再会は、1938年のスイス、テディが26歳のときだった。この再会後、カカへの手紙の中でテディは、あなたが生涯一番の友であると書き記した。彼は、カカが生涯を通じて与えてくれたすべての愛と優しさへの感謝の思いを表した。1939年、第二次世界大戦が始まると、カカとテディがこれ以上連絡をとりあうことは不可能になった。カカは1942年、88歳で亡くなった。

 カカが手紙を書き始めておよそ100年が経過しているにもかかわらず、それは世界中で老若を問わず読者を魅了し続けている。その手紙は、私たちがどこにいようと、どの時代に生きようと、連絡をとり続けたいと心砕いていることを示す特別な努力が大きな違いを生むことを、思い出させてくれる。Eメール、携帯メール、SNSで瞬時に友人や家族とつながることができる時代において、連絡をとることはみんなが当たり前のことと考えている。カカは技術に魅了されていたので、海の向こうの家族と連絡をとる手段として、インターネットを喜んで駆使したことだろう。けれども、どれほどの数の電子メッセージが、後の世代に引き継がれうる「宝」として残るだろうか。手書きの手紙には、書いて送り届けるための時間や心配りから生まれる、特別で永続的な魔法がある。カカの家族への愛情は、孫に宛てた絵手紙を通して生き続けていく。